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じき|オーガニック葡萄の栽培とワイン醸造

環 2022

¥3,630

SOLD OUT

例)1980年1月1日
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~葡萄について~
じきの畑の有機ブドウだけを使用しています。
品種はシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ブラン

~じきの畑が考える白ワインについて~
じきの畑はアロマティック系の葡萄を植樹していません。また、黒葡萄をブラッシュした白ワインも造っていません。前者の理由としては、アロマティク系葡萄を使うと葡萄が「熟れた」状態でなくとも芳醇なテルペン香が立ち、葡萄本来の熟度の高さから変化するアミノ酸の組成、その後に酵母菌によって生成されるエステル香をマスキングしてしまうようにも思えるからです。最終的にはバランス的なところもあると思うのですが、特に冷涼な北海道であれば尚更だと思っています。

テルペン香は葡萄本来の香気成分で熟度がそこまでいかずともアロマティック系と言われるミュスカ系やゲヴェルツ、ケルナー種などには豊富に含まれます。ノンアロマティック品種でも熟度が高くになるにつれ高含有になりますが、量としてはアロマティック>ノンアロマティックです。代表的なのはマスカットに代表されるような麝香臭などアタックから芳しい芳香成分を立たせます。
また、それとは全く別になりますが、ラブルスカから発せられる香り(アントラニル酸メチルをはじめとした北米種葡萄から発生される香)も葡萄自身から発せられる香りがメインです。個人的には8月のナイアガラの香りは葡萄の旬を知らせるものですが、9月の上旬になって熟度が増してくると登地区全体がナイアガラの香りに満たされ、畑仕事をしていると若干の胸やけすら起こしてしまうほど強烈になってきます。ナイアガラ臭はある意味では行き過ぎた吟醸香のようなケバさすら覚えることもあります。
ワインは葡萄のポテンシャルが第一にあるのは当然ですが、その葡萄本来のポテンシャルを見てもらうためにはアロマティック系の比率、黒葡萄のブラッシュ比率が高い白ワインは白葡萄単体から造った白ワインと同じ土俵なのかと思うこともあります。当然互いに良さはあります。ただ、自分は葡萄が持つ香り以上に熟度の高い葡萄を発酵させ(アセチルcoaとAATの働き)たことによって発生する香り(エステル香)やその前駆体である高級アルコール(フーゼル油)を感じてもらいたい気持ちが強いです。
また、黒葡萄のブラッシュワイン(白ワイン)は確かに芳しく、且つ豊潤さ、線の太さを持っています。しかし、白ワインの繊細な中にもある種の儚さと一本線の通った芯を感じさせるものは、白葡萄単体からのみでしか表現できないようにも感じています。
なので、じきの畑ではアロマティック系葡萄は植樹しませんし、黒葡萄をブラッシュして白ワインを造ることもしません。今後もこの考えは変わることはないと思います。もちろんヴィニフェラでのみワインを造り続けます。

~造りについて~
じきの畑の葡萄100%のワインです。2022vtは夏の干ばつなどは特になく、収穫期も晴れに恵まれる機会も多かったように思います。ただ、熟度的なことは21vtに劣っており、収穫期を少し引っ張りました。
じきの畑は収穫を10/22に行い、病果や腐れなどを徹底的に選果したシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ブランをホールバンチにて圧搾しました。
圧搾後、3日目にデヴルバージュを行ってステンレスタンクへ移動しました。その後、野生酵母による発酵を行いました。発酵終了後に野生乳酸菌にMLFを行ってもらい、ステンレスタンクにて保管しています。タンク保管中にエアレーション目的で2回ほどタンク移動を行っています。一回は亜硫酸を15ppm添加しています。
発酵最終盤から中々brixの下がりづらくなり、代わりに乳酸菌由来のVA生成がタンク下で目立ち始めました。澱との接触はワインへボディ感と良い意味での還元臭をもたらし、芳ばしい香りをつけてくれることもありますが、残糖のある状態でスタックした場合で、且つ時間の経過した澱は有機体窒素が豊富である一方、酵母菌の活性が落ちている関係も相まって、特に嫌気的環境にあるタンク底の澱との接触部分でヘテロ型乳酸発酵の2型が進行し、6単糖や5単糖を資化させて酢酸と乳酸を生成してしまいます。
これについては一度目のタンク移動の際に気づき、軽い澱も含めた澱も2回目の澱引きでは除きました。それに伴い、酵母菌による発酵も更に進みづらくはなるのですが、VA量が増えることと天秤にかけると前者を選択した次第です。
じきのワインは添加物の一切(亜硫酸以外)を使用していないため、乳酸菌に効果のあるリゾチーム、フマル酸等の添加、そしてフィルタリングや加熱といった処理も行っていません。自然な流れのまま製造し、手を加えるべきところでは手を加えるという手法を取っています。
そうなってくると白ワイン醸造における乳酸菌のコントロールがやはりネックになっています。スムーズに酵母菌が食い切ってくれれば何も問題はないのですが、葡萄の品種や畑の生育環境による葡萄そのもののポテンシャル(食い切りやすい葡萄や食いづらい葡萄があるのは事実)が酵母菌に好まれていない可能性があります。一方で、その解決策として発酵中でのエアレーションや醸し作業があるのですが、前者は23vtで試したところそこまで効果のある作業ではないことが分かりました。そして、もう一方の醸す作業ですが、白ワインにおいて「醸す」という醸造工程を取ることが個人的にはあまりやりたくない手法のため、避けていることも一つの理由なのかと考えています。

サンプルバルブから引いてきた液体からは、トップにパイナップルやマンゴ等トロピカルフルーツ香が立ちます。VAもありますが、香りの観点からは良い方向に働いています。その後レモン、キンカンの香りが上がり、スワリングすると熟れた洋ナシの香りがたってきます。21vtほど暴れている印象は全くありません。ただし、まだ甘みが若干あります。液体としての透明感はかなりあるため、今瓶詰めしても動きづらい状態であるのは分かるのですが、やはり食い切らせてから詰められればという希望があります。
 口中に含むとアタックに若干の発泡感と丸みのある酸、そしてボリューミーな果実感が押し寄せます。タニックな感じは強くなく、程なくして厚みのある柑橘系の味わいが広がります。ミドルからアルコールの影響からボリューミーな果実感が押し寄せます。喉奥にVAを感じますが、個人的には好みの範疇です。
 飲む際には室温より若干冷え気味から飲んでいただくことが好ましいかなと思います。私の好みの温度帯は15度くらいです。
個人的には抜栓5日目くらいが好きでした。2日目以降は酸化ニュアンスが出てきますが、5日目くらいで落ち着き、和柑橘系の香りがより立ってきます。

(※22vt環はまだ瓶詰めしていません)

~ワイン名について~
「環」と書いて「めぐる」と読みます。
私は、昔から生きとし生きるもの(生物を構成する小さい単位としての原子)がこの世を循環している歯車の一つであり、環り環っているのだという考えがありました。そして、余市へ来てからその考えはより強いものとなっています。
畑でできた葡萄からワインが造られて、そのワインを飲み、飲んだ人がまた畑を耕す。その過程で出た残渣は畑へ戻る。そのような先史時代からずっと紡がれてきた農業や醸造、いやそれよりもっと昔からある「生」という営みをワインを中心に置いた「循環」として表現したいと思いました。
詳しくはこちらに記載しています。
https://www.jiki.wine/blog/2021/02/19/161929


◆ 品目 … 果実酒(日本ワイン)
◆ 原材料名 … 有機ぶどう(余市町登町)、酸化防止剤(亜硫酸塩)
◆ 品種 … シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ブラン
◆ 内容量 … 750ml
◆ アルコール分 … 12.5%
◆ 製造者 … 合同会社10R(北海道岩見沢市栗沢町上幌1123番地10)
◆ 販売者 … じき(北海道余市郡余市町登町1350番地3)

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