環 2021
¥3,410
SOLD OUT
~葡萄について~
じきの畑の有機ブドウだけを使用しています。
品種はグリューナー・フェルトリーナ、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ブラン
~造りについて~
病果や腐れなどを徹底的に選果した葡萄をホールバンチにて圧搾しました。
圧搾後、タンクに移動したところ神秘的な膜(産膜ではありません)が張るといった不思議体験をしました。10R内でもこんなものは出たことがなかったそうな。
その後3日目にデヴルバージュを行ってステンレスタンクへ移動しました。
発酵、MLFを行い、滓引きをせずに軽い滓と接触させながら、半年少し寝かせました。
2022年7月末に瓶詰を行いました。
~コメント~
じきの畑の葡萄100%のワインです。2021vtは夏の干ばつの影響から熟度の進みが早く、9月に収穫を行う醸造所もあるくらいでした。じきの畑は収穫を10/13~10/16に行い、病果や腐れなどを徹底的に選果したグリューナー・フェルトリーナ、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ブランをホールバンチにて圧搾しました。
圧搾後、3日目にデヴルバージュを行ってステンレスタンクへ移動しました。その後、野生酵母による発酵を行いました。発酵終了後に野生乳酸菌にMLFを行ってもらい、そのまま半年少しステンレスタンクで熟成させました。7/23にノンフィルターで瓶詰を行い、現在瓶熟8か月となっています。亜硫酸添加量は瓶詰時のみ7ppmとなっています。
その後保管庫にて瓶熟を進めていましたが、2022年の9月を越えたあたりで瓶内の滓が目立ち始めました。現れた滓の様子から中身の確認を行う必要があると判断し10月に1本だけ試しに開けたところ、瓶内で野生乳酸菌によるヘテロ型乳酸発酵(瓶内再発酵)が発生していました。乳酸菌は糖やリンゴ酸から乳酸を作ることはご存じかと思いますが、並行してMLFを行うオエノコッカスを始めとするヘテロ型乳酸発酵を行う乳酸菌は、糖やリンゴ酸から酢酸を生成します(その中でも特にラクトバチルス系はMLFを行いますが、並行で酢酸生成をします)。ブルゴーニュの生産者でも発酵は野生酵母に任せますが、MLFについては野生乳酸菌の危険性から培養したMLF菌を使用している所もあります。
私の見解としては残糖のある時点(サッカロミセス属が資化しづらい5単糖を含め)で瓶詰を行ったため、瓶内で野生乳酸菌が活動(※瓶内再発酵で酵母菌が活動すると還元臭が目立つことが多く、酢酸菌は嫌気的環境下では活動しづらい)し、糖を食べて酢酸を生成したものと思われます。じきのワインは添加物の一切(亜硫酸以外)を使用していないため、乳酸菌に効果のあるリゾチーム、フマル酸等の添加、そしてフィルタリングや加熱といった処理も行っていません。自然な流れのまま製造し、手を加えるべきところでは手を加えるという手法を取っています。そのため今回のような瓶内再発酵を起こす結果となりました。
トップにパイナップルやマンゴ等トロピカルフルーツ香が立ちます。感じないくらいの範囲に存在する微量な酢酸エチルにより華やかな果実感がより引き立ち、香りの観点からはVAが良い方向に働いています。その後レモン、キンカンの香りが上がり、スワリングすると熟れた洋ナシの香りがたってきます。
口中に含むとアタックに若干の発泡感と丸みのある酸、そしてボリューミーな果実感が押し寄せます。タニックな感じは強くなく、程なくして厚みのある柑橘系の味わいが広がります。ミドルから酢酸のニュアンスが喉を刺激しますが、アルコールの影響からボリューミーな果実感により欠陥としての酢酸ではなく、面白みを持って味わえる範囲の酢酸を感じます。
私個人の見解ですが、味わいとしては、アタックからミドル辺りまでは自分の納得できる所に落とし込めたと考えています。ミドルからアフターにかけVAのニュアンスが全体のバランスからすると強めに感じます。ですので、お召し上がりの時は冷蔵庫で冷やして抜栓してからあまり時間をおかず飲んでいただければと考えています(9℃くらいから飲み始め12℃くらいで香りが一番立ちます)
※2021環につきましては、再度動く可能性があるためワインセラーが無い場合は、冷蔵庫保管が良いと思います。個人的には2年くらいの範囲で飲んでいただいても良い気がしますが、瓶熟してVAが馴染む可能性がありますのでセラーでもう少し寝かせることも面白いかと思います。
~ワイン名について~
「環」と書いて「めぐる」と読みます。
私は、昔から生きとし生きるもの(生物を構成する小さい単位としての原子)がこの世を循環している歯車の一つであり、環り環っているのだという考えがありました。そして、余市へ来てからその考えはより強いものとなっています。
畑でできた葡萄からワインが造られて、そのワインを飲み、飲んだ人がまた畑を耕す。その過程で出た残渣は畑へ戻る。そのような先史時代からずっと紡がれてきた農業や醸造、いやそれよりもっと昔からある「生」という営みをワインを中心に置いた「循環」として表現したいと思いました。
詳しくはこちらに記載しています。https://www.jiki.wine/blog/2021/02/19/161929
◆ 品目 … 果実酒(日本ワイン)
◆ 原材料名 … 有機ぶどう(余市町登町)、酸化防止剤(亜硫酸塩)
◆ 品種 … シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ブラン、グリューナー・フェルトリーナ(白)
◆ 内容量 … 750ml
◆ アルコール分 … 13.5%
◆ 製造者 … 合同会社10R(北海道岩見沢市栗沢町上幌1123番地10)
◆ 販売者 … じき(北海道余市郡余市町登町1350番地3)